2014年7月30日水曜日

新人賞応募原稿の作り方(画像あり)

本日、本のサナギ賞に応募しました。

この賞は今年創設されたばかりなのですが、なんと大賞受賞作は初版2万部確定という太っ腹の賞なのです。普通、新人賞受賞作は4000部とからしいので、これは破格と言っていいでしょう。

で、今回の記事のテーマはと言いますと、応募原稿の作り方、封筒の書き方などです。投稿歴がある方ならすでにやり方はわかっているでしょうが、初心者の方は迷うことがあるかもしれません。案外、ネット上に画像付きで解説してるものは見当たらないですし。

ということで、以下、説明していきます。


応募要項を見て住所を書きます。ここは縦書きでも横書きでもオーケー。最後に「御中」を付けるのを忘れないようにしましょう。赤ペンで下の方に「応募原稿在中」と書きます。……しかし、丁寧に書いたのにけっこう字が歪んでるなぁ。



封筒の裏。自分の郵便番号、住所、本名を書きます。一応、作品名も書いておいた方が、先方としては便利かもしれません。



ほとんどの新人賞ではあらすじの添付が求められます。指定の字数以内で最初からオチまで、すべてストーリーを書きましょう。作品自体といっしょに綴じない、という場合が多いです。



原稿本体はしっかりと綴じます。他のホームページでは紐で綴じる方法も紹介されていますが、画像のようなダブルクリップがいちばん一般的だし便利だと思います。右上で綴じます。今回は32mmの大きさのものを使いました。A4で100枚前後だとこれがぴったり。選考が上の方までいくとコピーを取る必要があるので、まちがってもホチキスでとめたりノリ付け製本などしてはいけません。



原稿の表紙。タイトルと筆名と原稿用紙換算枚数を書きます。どんな賞でも共通でしょう。筆名には必ずルビを振るか、括弧を付けて読み方を示すように。タイトルも、難読の場合は振りましょう。ちなみに、この表紙を1ページ目とするか、次から1ページ目とするかたまに迷いますが、ま、指定されてなきゃどっちでもいいんじゃないのかな。



原稿には必ず通し番号、ページ数を入れます。フッターの真ん中か左下が一般的ですね。今回は左下という指定があったのでそうしました。選考中に原稿がバラけることもあるので、これは必須です。ページのことはノンブルとも言います。なぜかって? 知らなーい。


今回は普通の封筒を使いましたが、不安な人は中が薄いクッションになっているものを使ってもいいと思います。防水性もあるので便利です。ビニールやサランラップなどで原稿をぐるぐる巻きにするのは開ける人がめんどくさいのでやめておきましょう。

あと、画像は出してませんが、本名、生年月日、電話番号、略歴、住所、メアドなどを書いた紙を一枚封入する必要があります。略歴に何を書いたらいいのか迷う方もいるでしょうけど、出身地・最終学歴・現在の職業くらいが書いてあれば十分のようです。むしろ、余計なことは書かない方がいい。アルバイト先に出すようなしっかりした書き方にする必要はありません。

2014年7月21日月曜日

カレン・テイ・ヤマシタ『熱帯雨林の彼方へ』

すごくおもしろいです、これ。

書店でたまたま見つけて買ったのですが、読み始めてすぐ惹き込まれました。突拍子もないストーリーに超個性的なキャラクターがたくさん出てきて、私にとってはごちそうです。

舞台はブラジル。日本人のカズマサがやってきて、仕事を探すというあたりから物語は始まります。語り部はなんと、カズマサの目の前に浮遊する謎のボール。このボールはあらゆることを知っており、他の人物のことも次々語っていくのです。

登場人物はざっとあげるだけでも、敏腕会社員で3本の腕を持つJ.B.、巡礼によって奇跡を起こすシコ・パコ、伝書鳩の一大通信網を作り上げるバティシュタ、羽学の始祖であり権威のマネ・ペーナなど、わけのわからない人々ばかり。

そして、話の中心となるのはブラジルの奥地に突如出現した謎の黒い物体マタカン。このマタカンを主軸として、かれらの群像劇が展開されていきます。

あまり詳しいストーリーには触れませんが、次々にいろんな人物が出てきて話が大きく展開していくさまは圧巻です。こんなにぶっ飛んだストーリーの話にはなかなかお目にかかれません。


さて、なぜ私が書店でこの本に惹かれたのかと言いますと、もともと私が好きだった小説、マリオ・ヂ・アンドラーヂ『マクナイーマ つかみどころのない英雄』との類似性を感じたからです。『マクナイーマ』はブラジル人がブラジルを舞台に書いたもので、とんでもない内容の本でした。ぶっ飛び具合でいうとこちらの方が上。それで、『熱帯雨林の彼方へ』も手に取ってみたという次第です。ブラジルという土地は人間の想像力を飛翔させる何かがあるのかもしれません。

よければ読んでみてください。

2014年7月20日日曜日

新人賞のよもやま話

当ブログにはエンタメ系新人賞のまとめという記事がございまして、随時更新しているのですが、これがもう月に一回とか二回のペースでやらないと現状を反映できないような状況になっています。

当初は、一回しっかり調べて書けば半年くらい放置しても大丈夫だろうという見込みでいたのですが、それでは全然間に合わない。日々、新しい情報が入ってくる。それほど新人賞の創設・廃止はハイペースで行われているのです。

さて今回は、そんな情報を集めている中で感じた新人賞界隈のことを書いてみようと思います。

まず、最近創設されたりリニューアルされた賞に共通していること、それはやはり、書店員の審査への参加でしょう。日ラブ、本のサナギ賞、ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞はそれぞれ書店員が審査に参加するということをうたっています。これは明らかに本屋大賞の影響。すでに出版された書籍が審査対象となる本屋大賞の成功を、何とか新人賞でも実現できないかという目論みが見て取れます。

ちなみに、この三つの賞は、やや似た傾向であるにもかかわらず、すべて七月末を〆切として設定しています。なぜこれほど同じ時期に密集させたのか謎です。素人目からするとエンタメ系新人賞の〆切が少なめの年末や年明けくらいにずらせばいいのに、とも思うのですが、そこは何か業界の事情があるのでしょうか。

一方、大手出版社が主催でプロの作家が最終審査をする新人賞も一定数存続しています。新潮エンターテインメント賞は消滅してしまいましたが、小説すばる新人賞はいまだ有力な賞として継続していますし、野性時代フロンティア文学賞は審査員を全員一新して2014年から新しいスタートを切りました。

他に目立つ動きとしては、ネット発の新人賞が出てきて、しかも規模が桁違いであるということ。なんと、今年のスマホ小説大賞の応募総数は9900作品だそうです。たしかこの賞はエブリスタという小説投稿サイトにアップロード済みのものも応募できるというものだったので、次回以降も同程度の作品が集まるかどうかは不明ですが、しかし1万近い応募数というのはおどろきです。

それから、エブリスタに限らず、広くネット上の小説すべてを審査対象にするという新潮文庫NEX大賞というものも創設されました。これに至っては「応募」という概念さえなくなり、編集部の人が勝手にネット上から小説を探し、それを文庫にするというのです。さあ、声を揃えて言いましょう。「それって新人賞じゃなくてスカウトじゃね?」

ともあれ、これだけエンタメ系新人賞が増えているというのは、ワナビにとってはたまりません。純文学の方はこれといって新しい賞ができたという話はなく、従来通り、数個の賞しかありませんが、エンタメの方は登竜門がいくつもある。とても嬉しい状況です。

ですが、世の中の流れというのはあっという間に変わるもの。この新人賞バブルもいつまで続くかわからない。この流れが途絶えないうちに受賞し、デビューしてしまいたいものです。