2014年7月20日日曜日

新人賞のよもやま話

当ブログにはエンタメ系新人賞のまとめという記事がございまして、随時更新しているのですが、これがもう月に一回とか二回のペースでやらないと現状を反映できないような状況になっています。

当初は、一回しっかり調べて書けば半年くらい放置しても大丈夫だろうという見込みでいたのですが、それでは全然間に合わない。日々、新しい情報が入ってくる。それほど新人賞の創設・廃止はハイペースで行われているのです。

さて今回は、そんな情報を集めている中で感じた新人賞界隈のことを書いてみようと思います。

まず、最近創設されたりリニューアルされた賞に共通していること、それはやはり、書店員の審査への参加でしょう。日ラブ、本のサナギ賞、ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞はそれぞれ書店員が審査に参加するということをうたっています。これは明らかに本屋大賞の影響。すでに出版された書籍が審査対象となる本屋大賞の成功を、何とか新人賞でも実現できないかという目論みが見て取れます。

ちなみに、この三つの賞は、やや似た傾向であるにもかかわらず、すべて七月末を〆切として設定しています。なぜこれほど同じ時期に密集させたのか謎です。素人目からするとエンタメ系新人賞の〆切が少なめの年末や年明けくらいにずらせばいいのに、とも思うのですが、そこは何か業界の事情があるのでしょうか。

一方、大手出版社が主催でプロの作家が最終審査をする新人賞も一定数存続しています。新潮エンターテインメント賞は消滅してしまいましたが、小説すばる新人賞はいまだ有力な賞として継続していますし、野性時代フロンティア文学賞は審査員を全員一新して2014年から新しいスタートを切りました。

他に目立つ動きとしては、ネット発の新人賞が出てきて、しかも規模が桁違いであるということ。なんと、今年のスマホ小説大賞の応募総数は9900作品だそうです。たしかこの賞はエブリスタという小説投稿サイトにアップロード済みのものも応募できるというものだったので、次回以降も同程度の作品が集まるかどうかは不明ですが、しかし1万近い応募数というのはおどろきです。

それから、エブリスタに限らず、広くネット上の小説すべてを審査対象にするという新潮文庫NEX大賞というものも創設されました。これに至っては「応募」という概念さえなくなり、編集部の人が勝手にネット上から小説を探し、それを文庫にするというのです。さあ、声を揃えて言いましょう。「それって新人賞じゃなくてスカウトじゃね?」

ともあれ、これだけエンタメ系新人賞が増えているというのは、ワナビにとってはたまりません。純文学の方はこれといって新しい賞ができたという話はなく、従来通り、数個の賞しかありませんが、エンタメの方は登竜門がいくつもある。とても嬉しい状況です。

ですが、世の中の流れというのはあっという間に変わるもの。この新人賞バブルもいつまで続くかわからない。この流れが途絶えないうちに受賞し、デビューしてしまいたいものです。

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