2014年10月10日金曜日

ネット文化を振り返る

ツイッターを見ておりましたら、こんな記事が流れてきました。

侍魂に吉野家......一世風靡したテキストサイト管理人の今を調べた

かつて流行した、いわゆるテキストサイトの管理人について調べた記事です。

2000年前後からネットに親しんでいた方はご存知でしょうが、当時、ネットというのはまだまだ世間一般に浸透しておらず、コアな人々だけが楽しむものでした。そんな中でムーヴメントを巻き起こしたのがテキストサイトなるものです。文字通り、文章でおもしろいものを表現していた一群のホームページたちです。

さて、しかし今回、私は上記の記事で扱われているようなサイトについて述べるつもりはありません。というのも、私が本格的にネットをやるようになったのは大学に入学した2005年から。その頃、まだ存続している有名テキストサイトもあるにはあったのですが(Numeriとか)、しかし、熱気はだいぶ薄れている頃でした。私のネット遍歴はテキストサイト衰退期から始まったので、その頃から現在のことについて書こうと思います。

2005年頃にどういう変化があったかと言うと、それは、ブログ文化の勃興です。それまではHTMLを駆使して自前のホームページを作成するのが当たり前だったのが、タグを一つも知らなくともできるブログが流行するようになりました。私もその流行に乗った一人です。

やさぐれるとは、こういうことさ。(2006年2月開設)


さて、ブログの出現というと、テキストサイト的なものの消滅、単なる日記の大量発生……そんなふうに括られることが多いのですが、しかし私の見ていた範囲では、ある程度意識的に書かれた文章、ユーモアをめざすテキスト、つまりテキストサイト的なものを志向するブログがかなりの数あったと思います。

当時は大学生ブログランキングなどを伝って同じにおいのする仲間を探し、相互リンクを貼ったり、記事の中で言及したりといった交流もありました。いま思い返してみると、あの頃のブログというのはテキストサイト的な文化と現在のような普通の人が普通の文章を書くという文化の中間形態だったのではないかと思います。

しかし、そうしたテキスト系を志向するブログも2009年前後にはほとんどが消滅してしまいました。実際、私の当時のブログに貼られているリンクを辿ってみますと、ことごとく2009年あたりで更新がストップしています。あるいは、URLごと消えています。

ではなぜそのタイミングなのかと言えば、mixiの台頭が大きいでしょう。mixiは、いまでこそ影が薄いですが、当時はすごかった。それまでネットをさほど利用していなかった層までをも、mixiは取り込んでいたように思います。そして、mixiが持つブログとの最大の違いは、「普通の日記を書いても反応が期待できる」というところ。ブログの場合、多くは匿名ですし、訪問者ゼロからのスタートなので、読者を意識した文章を書かざるを得ません。エンターテイメントでなければならないのです。ですが、mixiなら最初から友人が見てくれるので、その日あったことをただ書き連ねても反応が得られるのです。こうして、低きに流れるようにして多くのブロガーがmixiに流れました。

その後に何が残ったか。

たしか、2009年頃だったと思いますが、一時期、ニコニコ動画の日記タグというものがちょっとした流行になりました。今でこそ顔出しで動画をアップする人が増えましたが、当時のニコ動はアニメなどのMAD動画ばかりで、顔を出しておしゃべりする人はめずらしかったのです。そうした人は「日記」というタグをつけて動画を上げておりました。その代表的な人物が今でも活躍中のニートスズキさんです。他にも、今はYouTuberとして活躍中のMAHOTOさんも、サシマンとして動画を上げていました。

一方、それから今日までのあいだにブログがどう変化したかと言うと、残念ながらテキスト系のものはほぼ壊滅状態です。探せばあるのかもしれませんが、大学生ブログランキングをチェックしてもそれらしいものはなく、なかなか発見するのは難しい。2005年頃にはある程度残存していたテキストサイトの残滓はほぼ完全に消え去ったと見ていいでしょう。

では、現在ネットにおいて全盛なのは何かと言えば、それは間違いなくYouTubeです。YouTubeはだいぶ前から「ようつべ」などと呼ばれ、存在してはいたのですが、ここ3、4年ほどで新しい展開を迎えています。ヒカキンさん、瀬戸弘司さんなどを始め、人気YouTuberが群雄割拠している状態にあります。

しかし、流行り廃りが激しいのがネット文化の宿命。今のYouTubeの活況がどの程度存続するのかはわかりません。いずれ、テキストサイト同様、「YouTuberなんてものもあったなぁ」と懐古する日が来るような気も致します。

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