2018年1月5日金曜日

政府は匙を投げている

この頃、日本の政府が次々に匙を投げている。

たとえば年金問題。従来型の年金はもうやばいので、これからは各々でがんばってくれ。おそらくそんな動機で導入されたのがイデコだ。イデコは正式には「個人型確定拠出年金」という。年金、と入っている。

だが、実態は何かといえば、長期投資に対する減税措置だ。本来なら投資にかかるさまざまな税金を免除してやろうというもの。

つまりは、老後に向けての資産形成はもう自分でやれよ、ということである。もともとの年金制度は、まあ、口に出しては言えないけどもう破綻してるから、こっちを利用して各々やってくれ、と。

穿った見方かもしれないが、そういうメッセージに思える。

もうひとつ、政府が放り出した巨大な匙が、雇用と労働の問題だ。

最近、政府は働き方改革ということをよく言う。副業解禁を産業界に呼びかけている。これはもう、従来型の雇用は保護しない、保護するつもりはないという態度のあらわれじゃなかろうか。

雇用に関して、労働に関して、政府はもう国民を積極的には守らない。まずは副業を解禁するんだから、各々でがんばれ。お金がないなら、自分で稼げ。そんなメッセージに思える。

もし将来、年金が支給されなくなったり、極端に支給額が減ってしまったら、政府はこう言うだろう。

「そのためにイデコを作ってやったんだ。あれだけ減税してやってたのだから、それを利用して準備しなかったあなたが悪い」

もし将来、雇用を失って収入が途絶えたら、政府はこう言うだろう。

「働き方改革と副業禁止を解除してやっただろう。いま収入がないのは、個人で稼ぐ努力をしなかったあなたが悪い」

というわけで、政府は、今後生じるであろう年金問題・雇用問題について、現在進行形でエクスキューズを用意しているようだ。これらの布石により、多くの問題は政府の責任ではなく、国民個人個人の責任に転嫁される。自己責任というやつだ。

この伝でいくと、健康問題にも何かありそうだ。あまり興味がないのでここは疎いが、病気に関しても、何かしら自己責任への転嫁の仕組みが構築されていそうである。

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