2016年4月29日金曜日

塾講師の仕事内容:生徒との関係

塾講師という仕事柄、生徒との関係には気を使う。会社側もそこにはシビアだ。

採用当初に注意されたのはSNSの扱いについて。私はFacebookを本名でやっていたため、採用説明のときには人事の者がすでにチェックを入れており、対応を求められた。生徒とSNSで接点を持つのは当然タブーで、その疑いを持たれるのもだめだということであった。担当者はFacebookアカウントそのものを削除して欲しいようだったが、いやだったので、名前を偽名にし、写真も顔写真ではなくして、特定されないようにした。

しかし、生徒や保護者がどこまでネットで講師のことを調べているのかは分からない。私の本名でググると、大学の紀要で発表した論文の情報がヒットするため大学名がばれる。過去に応募した新人賞のことも出てくるため、ワナビだということも発覚しかねない。が、これらがバレていると感じたことはない。そこまで興味を持たれなかったということか。

生徒に対しては、明かしていい個人情報とそうでないものがある。これについては正式にレクチャーがあったわけではないが、たとえば出身校は言わないことになっていたようだ。このへん、家庭教師や予備校の講師とはぜんぜん違う。とはいえ、これにについては生徒から聞かれたことは一回しかない。聞いてはいけないという意識があるのか、あるいはそもそも興味がないのかはよく分からなかった。

そして、年齢も明かしてはいけないことになっていた。だがなぜか、生徒というのは先生の年齢をやたら気にする。アホほど聞いてくる。「先生、何歳なの?」と百回くらい聞かれたかもしれない。なぜそんなに年齢が気になるのかは謎である。あと、なぜ言ってはいけないのかも謎である。

生徒といちばん親しく接する機会というのは、塾講師の場合、質問対応だ。そのときに勉強の仕方であったり進路についてであったり、相談に乗ることもある。雑談もする。ただ気になったのは、質問に来る生徒が非常に偏っているというところ。同じ月謝を払っていても、よく質問に来る生徒の場合は個別指導に匹敵する手厚いサービスを受けていることになるし、来ない生徒はその分損をしているとも考えられる。個人のやる気に比例して先生も応えるのだから、これが理不尽とは言えないが、保護者の立場で考えた場合、通わせがいがあるのは前者のような子であろう。

塾は地域に密着した商売なので、塾を出ても、町で生徒や保護者と出くわすことがある。住んでいる場所もなるべく生徒には知られない方が望ましいので、そういうときは気づかれずに逃げるようにする。こういうことが厭わしい人は、勤務場所から数駅離れたところに住んでいる。

問題のある生徒、荒れたクラスというものもある。塾はいくもいかないも任意なのだから、いやなら生徒の方から辞めていくだろうとも思うが、実際はそうでもなく、親に言われてイヤイヤ通塾している生徒もおり、勉強する気などサラサラないという生徒もいる。クラスが荒れるとけっこうひどいことになる。子供というのは残酷なもので、それが集団で敵意を向けてきて罵詈雑言をぶつけられると精神的に堪える。それでも塾の場合はそのあいだだけ耐えればいいわけだが、学校の先生は担任のクラスが荒れたりしたらまいってしまうだろう。教師の休職が多いというのも理解できる。

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