2016年4月29日金曜日

塾講師の仕事内容:ポスティングと門前配布

授業以外の仕事には何があるか。たとえばチラシの配布だ。

学習塾の目標は、生徒の成績を上げて志望校に合格させること。であるとともにもう一つ、生徒を増やすというものもある。このために、宣伝は欠かせない。私がいた塾の場合は近所の家の郵便受にチラシを入れる、いわゆるポスティングと、小中学生の帰宅時間をねらって学校の校門の前でチラシを配る、いわゆる門前配布の二つがメインだった。

チラシは教室内にあるリースのもので刷る。A4に印刷したものを2つ折りくらいにして、ポスティング用はそのまま紙袋へ、門前配布用のはまずクリアファイルに入れる。さすがに小学生でもチラシ単体を受け取ってはくれないため、クリアファイルで釣る作戦である。で、案外この、チラシを「折る」という作業がたいへんである。

夏期講習の前、上司がコピー機が発火しそうなほどチラシを印刷していることがあった。印刷したものは床にどんどん積まれ、結局、膝くらいまであるチラシのタワーが3つできあがった。

「これ、○日までに折っといてくれる?」

いちばん下っ端の私に、それをすべて折るという作業が命じられた。「いやだよ、めんどくせぇ」と言って断りたい気持ち満々だったがそうもいかず引き受け、それからしばらくは空いた時間にひたすらチラシを折っていた。陰鬱な記憶である。結局終わらなくて怒られたしね。

話を戻す。

ポスティングは、わるい仕事ではなかった。特に、仕事に嫌気がさしてからは、一人で外に出て1、2時間ぶらつけるこの業務は好きであった。家々の郵便受にチラシをちまちまと配り、ある程度配れたらコンビニでたばこを吸ってくつろぐこともできた。

門前配布だが、これもどちらかと言えば楽しい仕事だ。最初こそ、見ず知らずの小学生相手にチラシを配るのはやや勇気が要るが、慣れれば楽しい。あいつらも二回目以降はこちらに慣れてきて、あっちの方から群がってファイルをひったくるように取り去ってゆく。ピラニアに食われるときの気持ちが少し分かった。ちなみに、学校の敷地にさえ入らなければ学校側から咎められることはない。不審者として通報されることもない。

こうして数百、数千とチラシを撒いていくと、ポツリポツリ、電話での問い合わせがある。私の塾ではホームページや新聞の折り込みでのPRもしているが、ほとんどは上記二つがきっかけとなって問い合わせがあった。この、保護者からの問い合わせのことを「反応」と呼ぶ。ここで相手の名前、電話番号、学年などを聞き出し、かつ、実力テストの受験や体験授業に来てくれるよう誘う。そうやって入塾へ繋げていくのだ。

集客はチラシ配りや体験授業や、あるいは他の生徒からの紹介など、いろんな要因が重なってなされるものだが、私の塾の場合、なぜか生徒の入室は「問い合わせの電話を最初に取った人」の手柄とされていた。問い合わせの電話を取るかどうかは運次第なのだが、あたかもその電話を取った人の手柄みたいな扱いをされていたのが不思議であった。

ポスティングと門前配布。どちらも事前に準備がいるし、一度そのために外に出ていけば1時間くらいはかかる。息抜きにもなるが、負担にもなる業務だ。

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